「老舗」とは(その弍)

 大阪市の「市民の声」に投稿してから2週間が過ぎた。

 大阪市中央区役所市民協働課からのメールが来た。

f:id:higachanntan:20230926203344j:image中央区役所からの回答

 我が目を疑った。神宗のHPに書いてあることを追認したと。2週間、市民協働課は歴史研究の専門家に歴史的事実の有無を尋ねなかったのだ。例えば、大阪歴史博物館大阪城天守閣大阪市文化財協会の学芸員に協力を求めることができただろうに。

 

 大阪市の公務員は就職するにあたって、「誓約書」に記名・捺印することになっている。「日本国憲法に従い‥」と誓約するのだ。公務員は公平・中立の立場で行政を行わねばならない。

 

 神宗のHPに載る次の二枚の写真が歴史的事実かどうかを自らの手で追究していくことにする。

f:id:higachanntan:20230926205715j:image↑神宗(大丸梅田店)
f:id:higachanntan:20230926205711j:image↑同上(店員さんの撮影許可を得た)。明治35年の写真だと『船場ものがたり』(2016年秋号、VOL.1)に書いてある。「表彰状を大きくして、軒先の看板に掲げてい」る

 

  大阪府中之島図書館の司書のご協力で歴史的事実かどうかを調べた。『西区史 第二巻』(清文堂)の487頁に「塩魚干魚鰹節問屋名面鑑」(嘉永4年)の写真が載っている。神宗の店頭を飾る写真と同じものだ。しかし、『西区史』には所蔵先が書かれていない。「名面鑑」を所蔵しているかと、国立国会図書館大阪府中之島図書館に尋ねた。収蔵していないとの返事であった。大阪市立中央図書館も収蔵せずとの回答であった。

 ただ、中之島図書館で所蔵する『保古帖』(全20巻)はデータ化されていないので、新たな発見があるかもしれない。スクラップ・ブックのようなものなので、辛抱強く読み進めれば成果が期待できるかもしれない。

 

 『大阪商業史資料』(浪速叢書第九巻、昭和4年2月、船越政一郎)によれば、「諸株仲間名称(天明期)」の45頁に靱町の神崎屋宗兵衛の名が出ている。

 

 絵はがき『絵図・中之島蔵屋敷風景「御田の祝」』が中之島図書館に所蔵されている。昭和60年6月の蔵書印が押されている。発売元が、(合)神宗 大阪市東区北久宝寺町1-9。発行者は、七代目店主 神崎屋宗兵衛(尾崎雅一)となっている。今の社長が小山鐘平氏

 

 以上がヒガチャンが調べた内容で、これ以上は私の手には負えない。福島区歴史研究会の諸氏の知見に縋るしかない。

 

【参考文献】

『大阪経済史料集成』6巻、11巻(昭和52年9月、大阪商工会議所)

『大阪商業史資料』(浪速叢書第九巻、昭和4年2月、船越政一郎)

『雑喉場魚市場史』(酒井亮一)

『西区史』(第二巻、大阪市西区役所)

船場ものがたり』(2016年秋号、編集:神宗)