10月5日、2022年7月に閉鎖された「莫大小会館」の内部を見る機会に恵まれた。
福島区歴史研究会主催の見学会に参加したのだ。1時間30分の見学は瞬く間に終了した。メリヤス会館は大阪輸出莫大小工業組合が建てたもの。住所は大阪市福島区福島三丁目1-39。
設計者は宗兵蔵建築事務所(不詳の説あり)。施工者は大阪橋本組(不詳の説あり)。竣工年は、1期(西側)が昭和四(1929)年、2期が昭和十二(1937)年。
メリヤス会館
メリヤス会館
メリヤス会館
メリヤス会館の北側から撮影
メリヤス会館の駐車場から
メリヤス会館の南側から撮影
堂島川南岸から見たメリヤス会館
メリヤス会館の看板が取り外されている
内部は天井が高く、圧迫感がない。
福島区歴史研究会からいただいた資料を引用する。
「シンプルな半円アーチ窓の繰り返しが美しい。
伸縮自在なメリヤスが莫大にも小にもなる意味から莫大小(メリヤス)。福島界隈には小さなメリヤス業者が集まっており、昭和元年に製品の輸出手続を行う組合を創立。三年後にその事務所としてこのビルが完成した。細部の装飾はルネサンス様式、採光を重視し、内部は廊下の片側に窓、反対側に部屋が並ぶ平面構成は学校建築に似ている。何度も増築を重ねたので、行き着けない階段があったりして、内部はまるで迷路のようになっている。」
昭和初期の近代建築がまた一つ消えていく。目の奥にしかと記憶として刻みつけたい。
【参考資料】
福島区歴史研究会展示資料「近代建築 メリヤス会館」(2013)
80周年記念リーフレット「莫大小会館」(株式会社メリヤス会館)