布屋公園の開園65周年おめでとう

 大阪市城東区新喜多東1-14に大阪市の布屋公園がある。それがどうしたのかと問われるかもしれない。非常にローカルな話題である。しかし、そこが歴史上有名な人物の出生地と聞けば、興味を抱かれる方もいるかもしれない。

 

 『時代に抗して光を求めた人々ー治安維持法犠牲者名簿・大阪ー』(治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟大阪府本部編)に「鍋山貞親」の名が載っている。4・16事件で弾圧された人物である。1901(明治34)年に大阪府東成郡鯰江村新喜多185番地で生まれた。住居表示はのちに大阪府東成郡鯰江町大字新喜多185番地に変わる。父は鍋山幾松、母はツチ。大阪法務局の旧土地台帳には185番地は欠けていた。旧・大和川(楠根川)の流域で、新喜多新田として開発された地域である。

f:id:higachanntan:20211009154947j:image布屋公園の入り口
f:id:higachanntan:20211009154943j:image写真の右側を楠根川が流れていた。高木があるのが布屋公園である

 小学校二年で父と死別。姉とメリヤス工場で働く。14年に大阪市立第一川崎尋常小学校を形だけ卒業。職業を転々とする。荒畑寒村を知る。1921年7月、日本共産党創立大会直後に入党する。1929年4月に逮捕される。1933年6月8日佐野学らと「転向声明書」を発表し除名される。

 1979年8月に77歳で亡くなる。戦後の彼は右翼陣営に属し、労働戦線統一などに注進する。

 

 大阪府中之島図書館で『最新地番入大阪市地図ー放出ー』(和楽路屋、昭和26年度版)で地番を確認した。

 布屋公園は昭和31年10月15日にオープンした。今年で開園65年を迎える。祝意をこの場で表したい。

f:id:higachanntan:20211009162650j:image旧・新喜多新田下会所
f:id:higachanntan:20211009162646j:image旧・新喜多新田下会所の周辺