東宝映画「見事な娘」(1956年)を観た。舞台は東京。主演は司葉子。小林桂樹、小泉博、笠智衆、沢村貞子、斎藤達雄、吉川満子など。溌剌として明るいOL(BG)をかわいく演じる司の魅力が出ている。南千住のお化け煙突や表参道、蒲田操車場などが出てくる。
その1シーンに大阪が出てくる。司が病気の兄(土屋嘉男)を迎えに大阪までやって来る。タクシーで城東区蒲生四丁目48番地に来る。二人の男に道を聞く。遠くに大阪城が見えている。看板に「岡村鉄工所」「スカウト」(キャラメル)が見える。おや、これはどこだ。大阪市城東区蒲生四丁目48番地なのだ。橋は蒲生橋。川は鯰江川。鉄筋の構築物が写るが、大阪市水道局東野田抽水所(昭和初年に建設)と睨んだ。
↑蒲生橋
↑鯰江川
正確には蒲生一丁目から都島区東野田一丁目にかけて撮影されたのだ。ロケが行われたのを知る方が生存されているだろうか。興味が湧く。
司がタクシーを降りてからの映画の場面を追体験しよう。
↑国鉄京橋駅から古堤街道へ行く道
↑正面の建物は東野田抽水所
↑正面中央に交番があった。この奥に川端康成の伯父秋岡義一の家があった
↑古堤街道(野崎街道)
↑壁に「スカウト」(スカウト製菓の製品名)や岡村鉄工所の掲示があった
↑道路はかつての鯰江川
↑南から撮影
↑鯰江川の北岸。古い民家が残る
日本映画専門チャンネルで「見事な娘」を堪能した。東宝映画に笠智衆が出演。娘の司とのやりとりを見ていると、小津安二郎の映画かと錯覚する。小林桂樹の役どころからサラリーマン映画の萌芽を見る思いがあった。
消えた街並みを映画に発見した喜びを味わっている。
【参考】
日本映画専門チャンネルのHP