京街道(枚方宿)

「宿場町枚方を考える会」総会に出席するため、京阪枚方市駅に降り立った。駅で周辺地図をもらって、会場に着く。

 せっかく枚方に来たのだから、京街道を歩く。駅前は市街地再開発事業が進行している。

f:id:higachanntan:20220425200343j:image白壁に「京街道案内図」が掲示されている
f:id:higachanntan:20220425200340j:image落ち着いた街並み

f:id:higachanntan:20220425200914j:image建物は新しくなっている

 京街道に面した民家の女性に聞く。建物が変わっても、住人は変わっていない。住みやすいし、治安もいいと孫をあやしながら言う。

f:id:higachanntan:20220425201330j:image街並みの色や屋根が工夫されている
f:id:higachanntan:20220425201337j:image京街道(枚方市駅を望む)
f:id:higachanntan:20220425201334j:image車庫
f:id:higachanntan:20220425201321j:image蔵が立っていたのか
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 寺も新しくなっているが、同じ地面に建っている。歴史が連続している。京街道に面する住民の意識に歴史が生きているのではないか。

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f:id:higachanntan:20220425202028j:image虫籠窓がいいですね
f:id:higachanntan:20220425202047j:image歴史街道の説明板
f:id:higachanntan:20220425202042j:image枚方宿東見付跡の碑
f:id:higachanntan:20220425202034j:image枚方宿東見付から西方を見る

 

旭区の段蔵めぐり

 湿度が増して、空模様が怪しくなる。千林公園横の交番で大楠(寶龍寺)への道順を聞く。年配のお巡りさんが丁重に教えてくれる。今市1丁目の狭い道を北に向かって歩く。四本の大楠は天然記念物に指定されている。最近、剪定したため、その大きさがわかりにくい。

f:id:higachanntan:20220422005209j:image塀に隠れる蔵
f:id:higachanntan:20220422005201j:image段差がついている
f:id:higachanntan:20220422005308j:image京街道の表示
f:id:higachanntan:20220422005243j:image狭い道を歩く
f:id:higachanntan:20220422005212j:image浄土真宗浄願寺
f:id:higachanntan:20220422005147j:image今市1丁目の蔵のある風景
f:id:higachanntan:20220422005216j:image同上
f:id:higachanntan:20220422005238j:image同上
f:id:higachanntan:20220422005138j:image同上
f:id:higachanntan:20220422005226j:image寶龍寺の門前
f:id:higachanntan:20220422005258j:image寶龍寺の門
f:id:higachanntan:20220422005205j:image今市会館
f:id:higachanntan:20220422005253j:image寶龍寺の境内
f:id:higachanntan:20220422005157j:imageコロナ対策で入山を禁止している
f:id:higachanntan:20220422005232j:image塀越しに大楠を写した
f:id:higachanntan:20220422005302j:image大楠
f:id:higachanntan:20220422005248j:image民家にも大木がある
f:id:higachanntan:20220422005143j:image石碑
f:id:higachanntan:20220422005153j:image石碑
 f:id:higachanntan:20220422010255j:image旧主婦の店 ダイエー千林店があった所。

f:id:higachanntan:20220422010251j:image千林商店街から清水に抜けるガード
f:id:higachanntan:20220422010239j:image昭和情緒がむんむん
f:id:higachanntan:20220422010235j:imageこの蔵は石垣が10段もある(清水3丁目)
f:id:higachanntan:20220422010259j:image旭区清水3丁目の住居表示
f:id:higachanntan:20220422010246j:image同上
 清水3丁目の蔵は地元の男性に教えてもらった。いくらでもあるよと言われ、こちらが驚いた。地元の人にはこの風景は馴染んでいて、改めて驚きの対象ではないようである。旭区の段蔵にも興味が尽きない。

 

滝井新地の女(ひと)

 滝井新地は雨だった。守口市滝井西町2丁目の一角にそれらしき料亭が並んでいた。どこも暖簾がかかっていなかった。夕方から営業が始まるのだが、調査に入ったのは午後も早い時間だった。

f:id:higachanntan:20220421172838j:image京阪電車側から見る
f:id:higachanntan:20220421172834j:image滝井駅千林駅の中間に位置する
f:id:higachanntan:20220421172845j:image住宅やマンションも混在する
f:id:higachanntan:20220421172853j:image廃業した店も残る
f:id:higachanntan:20220421172841j:image18歳以下の入店は禁止です
f:id:higachanntan:20220421172823j:image看板から情緒が匂い立っている
f:id:higachanntan:20220421172827j:image猫が私を睨んでいた
f:id:higachanntan:20220421172820j:image夜になると輝くのだろう
f:id:higachanntan:20220421172849j:imageコロナ禍で営業時間が変わったのか
f:id:higachanntan:20220421172831j:imageマンションの塀に「立ち小便禁止」の看板があった

 滝井新地から千林駅に向かおうとして、曲がり角で女性とすれ違った。メガネの女(ひと)であった。ジャージ姿。声をかけようとしたが、霧のように姿が消えた。掛けてもしゃべる言葉もないのに。長い髪の後ろ姿に心惹かれるものがある。

f:id:higachanntan:20220421174329j:image地図はありがたい
f:id:higachanntan:20220421174322j:image近くには「玉出」があった
f:id:higachanntan:20220421174325j:image千林商店街の入り口

城東区の歩道橋

 城東区蒲生4丁目交差点を北に行くと、蒲生児童遊園がある。ここは元城東消防署が建っていた。第二室戸台風で火の見櫓が倒れた。それで前を通る国道1号線が一時不通になった。

 その後に、現在地に城東消防署が移転してきた。

f:id:higachanntan:20220419143357j:image遊園の掲示板に「歩道橋」を潰すと書いてある

 その歩道橋はNTT西日本城東支店と蒲生コーポの間にある。周辺には旧城東区役所前に歩道橋があったが、今は既に撤去されている。

 歩道橋はすでに「無用の長物」化している。クルマ社会が生み出した構造物だ。橋から眺める景色にはこころ惹かれるものがある。面白いアングルで写真が撮れるだろう。将来、歩道橋がなくなるのは自明だろう。文化財になるかもしれない。

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f:id:higachanntan:20220419142803j:image歩道橋の上から撮影(南を望む)
f:id:higachanntan:20220419142817j:image同上
f:id:higachanntan:20220419142810j:image歩道橋から北を望む
f:id:higachanntan:20220419142807j:image同上(下を国道1号線が走る)

滝井(千林)新地の聞き書き

 旧古市村の段蔵を調査した時に、ある喫茶店の主人から聞いたことがあった。遅い昼食を食べようと入店した。軽い気持ちで地域の歴史について聞くと、主人の口から興味深いことを聞くことができたのだ。以下は喫茶店主からの聞き書きである。

 

【千林商店街の近くに滝井新地がある。守口市滝井西町になる。夕方になると、眠った街が目を覚ます。コロナ禍以前の滝井新地はたいへん繁盛したそうだ。経営者は笑いが止まらないほど儲かったそうだ。

 滝井新地に勤める女性がたまに客として来店する。若くて、普通の格好の20代女性。ブランド品も付けていない。ジャージ姿のお客さん。一人ではなく、遣り手婆と一緒だ。遣り手婆と言っても40代だ。

 20代女性が春をひさいでいる。彼女には彼氏がいる。ヒモになるだろうか。朝、彼のために弁当を作って仕事に送り出す。千林商店街で買い物をする。そして、午後3時から新地の営業が始まる。職業に彼女はプライドを持っているらしい。女性の彼氏は、彼女が売春しているのを知っている。彼女は彼に尽くしているのだ。最近はあまり来店しないそうだ。】

 

 そんな浪花女性が現代にいるのだろうか。それも愛なのだろうか。現代的な愛情表現なのだろうか。そんな思いに囚われていた時に本棚に見つけたのが殿山泰司著の『日本女地図』だ。

 その本に大阪府の女性に触れている箇所がある。府出身有名女性に、山本富士子山田五十鈴京マチ子有馬稲子与謝野晶子・豊原路子をあげている。時代を感じさせる女性の顔ぶれである。「浪花女は、(中略)男の顔を見てもあまりニコニコしてくれない」「芯は情がこまやかで、ねばり強く、結婚すると夫に同化し、苦難をともにしてくれる」「男の陰になって、男を出世させる。そして男が出世しても、表面へしゃしゃり出ないで、じっといつまでも陰になっている」と浪花女の特長をあげている。昭和44(1969)年2月、カッパ・ブックスから出版されたもの。半世紀以上前の出版物だ。

 

守口市の千林新地に五十軒ほどの赤線が誕生したが風情はな」いと書かれている(『全国女性街ガイド』平成28年3月17日発行)。赤線とは、「売春が公認されている地域。売春防止法で廃止された」(広辞苑第七版)。1946年から1957年まで赤線は存在した。

 滝井新地の名は、これも近所の古老の口から出た。お金が入れば、滝井新地か橋本遊廓(八幡市)、飛田遊廓にも遊びに行ったと語った。

 京阪特急に乗って、千林駅を過ぎると「トルコ風呂」のネオンが見えた。暗闇にネオンが明るく輝いていた。なぜこんな場所にあるのかと単純な疑問を抱いた。高齢者になってそれは氷解した。

 その辺りが滝井新地だったのだ。トルコ風呂という語句は誤用である。現在はソープランドと呼ぶ。1984年から使用されている。「女性が接待する個室式特殊浴場」がその意味である。そのソープランドは今も残っているだろうか。

 滝井新地に浪花女が今も生きているのかを追究していきたい。

 

天王田の段蔵

 城東区天王田(てんのうでん)にも広義の段蔵がある。

 道を隔てた北側に楠根川(旧大和川)が流れていた。邸宅の北東側に段蔵がある。

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 別の邸宅の蔵である。私有地のため、近づくことができなかった。

 邸宅内にあるため、石垣の高さは不明である。同姓の邸宅が固まっている。
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 邸宅の高い塀に囲まれているため、詳細は不明。車庫のシャッターが見えるが、クルマが2台入るスペースがある。その奥に蔵が位置している。この邸宅は旧村のメインストリートに玄関がある。車庫のシャッターの南側は標高は低く、井路川が流れていたと考えている。長屋門がある豪邸が並んでいる。

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蒲生の段蔵

 蒲生4丁目の、古堤街道の北に資産家の邸宅がある。生駒山まで、他人の土地を踏まずに行けるほどの広大な土地を保有したと言われる資産家だ。今は株式会社になって、遺産相続対策をしている家と言われる。蔵が道をはさんで残っている。

f:id:higachanntan:20220411211549j:image蔵を活用して、食事ができる店
f:id:higachanntan:20220411211553j:image店を北側から見る
f:id:higachanntan:20220411211557j:image本宅の北西に蔵が見える
f:id:higachanntan:20220411211546j:image段蔵だろうと思える

 本宅の「段蔵」は内部を改造して、居住できるようになっているらしい。囲炉裏があると聞いている。旧東成郡鯰江村蒲生町にある邸宅には、茅葺き屋根の民家が戦災に遭わず残っている。