田野さんの講演会

 田野さんの講演会に期待して、此花区区民ホールに急いだ。バスで大阪駅前まで。そこから酉島車庫行きで此花区役所前で下車。その隣に区民ホールがあろうと勝手に思った。第四日曜日の窓口は開いていた。職員諸君に声高に「区民ホールはどこですか」と聞く。みなさん、首をかしげるばかりだ。隣にはないと。さあ、慌てる、慌てる。此花区民ホールは千鳥橋駅裏を西に行ったらあるのだ。尼崎街道に面している。

 バスを待つことしばし。間に合わず。仕方なく、歩いた。国道43号線を潜って、汗を拭きつつ着きましたがいな。「一休ホール」とも言うそうだ。一休が区民会館の命名権を買ったのか。

f:id:higachanntan:20240730015111j:image↑区役所の標高を示す掲示

f:id:higachanntan:20240730015531j:image↑大阪陽子線クリニック(保険適用で陽子線治療ができるのが売り)

 

  45年前に此花区の中学校に勤めた友人の女性が言っていたのを思い出した。此花区には東から此花中学校、春日出中学校、梅香中学校の三校がある。今は此花工業高校が統廃合されて、咲くやこの花中・高一貫校ができた。

 四貫島あたりには反社会的組織の事務所がたくさんあったらしい。今はどうなっているかは知らない。組事務所があったから、一部の生徒たちも影響を受けていたかもしれない。

 此花区の北部はA中学校区。中部はB中学校区。南部はC中学校区。A中学校の先生たちは非行に手を焼いた。非行が高原状態であった。

 B中学校は校区が日本一広いと言われていた。南北は正蓮寺川以南から北港通まで、東西は此花朝日1丁目から桜島までである。校門前の芝生にやんちゃな生徒が屯していた。先生や生徒にイチャモンをつける。16時以降に学校にかかってくる電話は要注意。誰も内心取りたくない。なぜか。非行を学校でなんとかしてくれという内容が多い。苦情の電話もある。学校は、体のいいなんでも処理係。教員には残業代が今も出ないが、非行対応で帰宅が遅くなる。授業、昼食指導、学活、掃除、部活動、生活指導で追いまくられる教師たち。夜の家庭訪問などで疲労を抱えて、帰宅する毎日。子育て中の教員は家庭との両立で悩んだであろう。

 水上生活者が住んでいたのも此花区のB中学校区だ。家庭訪問でその家庭の事情がわかる。水上生活者の他に、生活保護受給家庭で、子だくさんで玄関に靴が乱雑に脱ぎ捨てられた市営住宅の住人。生活に疲れ、毎日を希望もなくいきる保護者。子育てを放棄する親。そのしわ寄せを受ける子ども。生活の苦しさに同情するが、如何ともする方法がない。働けど働けどわが暮らし楽にならざり、じっと鏡を見るのみであった。

 

 1980年代の非行に明け暮れた時代は流れ、今の人々の生活は名実ともにリッチになったのだろうか。

 四貫島商店街のアーケードの隣に「児島建設ビル」が聳えている。ここがそうだ、此花区パチンコ店放火殺人事件の現場なのだ。5人が亡くなり、19人の重軽傷者が出た。犯人Tは死刑が確定し、大阪拘置所塀の中で生活している。

f:id:higachanntan:20240730015525j:image↑1階パチンコ店はスギ薬局に代わっている

f:id:higachanntan:20240730015528j:image↑同上
f:id:higachanntan:20240730015534j:image↑同上

 

 田野登代表(大阪民俗学研究会)の講演会に大幅に遅刻したことは先に触れた。最後部に座った。しっかりしたレジュメのおかげで助かった。弱視でホワイトボードが見えなかったが、レジュメで講演の趣旨がわかった。此花区の四貫島と伝法を分けるのが正蓮寺川だと。今はその正蓮寺川も埋め立てられたが。やはり此花区も水都大阪だった。