まぼろしの南木芳太郎邸

 大阪研究の必読書といえば、まず、肥田皓三先生の愛読書であった雑誌『上方』であろう。奥付の上方郷土研究会の住所には関心がなかった。編緝兼発行人である南木芳太郎(1882〜1945)の住所にも。大阪市西成区南吉田町八十八番地とはどこだ。

 

 西成区役所の住居情報担当に聴いた。今の住居表示は、大阪市西成区天下茶屋3丁目25-4。地下鉄堺筋線天下茶屋駅まで行った。リュックに「ゼンリン住宅地図西成区−」を入れてゴー。途中、西成区役所で「西成観光マップ」をいただく。この地図はおススメ。水も忘れずに。

f:id:higachanntan:20230420213857j:image↑この辺りが旧南木邸跡

 

 2004年の「ゼンリン住宅地図」には長屋がひしめきあっていた。南木姓はなかった。西成図書館が休館であったため、これ以上はわからない。

 大阪市史編纂所から『南木芳太郎日記』が出版されているので、参考にされたい。

 

 しかし、思わぬ収穫があるものだ。旧南木邸の向かい(天下茶屋3丁目16-16)に梅谷歯科医院の建物が聳えている。「大正11年頃の建築で、平成11年に国の登録有形文化財に登録された。洋風の意匠を取り入れた大正期建築の好例」と言われる(西成観光マップより引用)。

f:id:higachanntan:20230420220940j:image↑梅谷歯科医院(南木も見ていただろう)
f:id:higachanntan:20230420220937j:image↑同上
f:id:higachanntan:20230420220943j:image↑同上

 

 

 松虫通まで南下して、阪堺電軌(ちん電)阪堺線聖天坂停留場で路面電車に乗る。聖天坂、北天下茶屋、松田町、今船、今池新今宮駅前、えびす町と路面電車の旅は続く。

f:id:higachanntan:20230420213853j:image松虫通以南の地図

f:id:higachanntan:20230420222157j:image↑聖天坂停留場
f:id:higachanntan:20230420222154j:image↑同上
f:id:higachanntan:20230420222204j:image↑回数券の発売終了のお知らせ
f:id:higachanntan:20230420222151j:image↑聖天坂停留場
f:id:higachanntan:20230420222201j:image↑えびす町に着いたちん電

f:id:higachanntan:20230420222408j:image↑えびす町停留場(終点)
f:id:higachanntan:20230420222405j:image↑停留場は南に移転していた
f:id:higachanntan:20230420222411j:image↑ちん電のダイヤ

 

 

 ちん電には外国人も乗っていた。欧米系、台湾人、香港人と、大阪にも外国の観光客が増えている。天下茶屋駅は、関空から南海電車天下茶屋駅まで来た客の乗り換え駅で、賑わっている。

f:id:higachanntan:20230420223355j:image阪堺電車のりば
f:id:higachanntan:20230420223401j:image↑えびす町停留場は南に移動している
f:id:higachanntan:20230420223348j:image↑マンション現場に「小西来山十萬堂跡の碑」があった(完成後、現状復帰される予定)
f:id:higachanntan:20230420223358j:image↑懐かしい、安田のピーナッツ
f:id:higachanntan:20230420223345j:image通天閣周辺の地図
f:id:higachanntan:20230420223405j:image澤野工房の広告
f:id:higachanntan:20230420223352j:image↑新世界市場の澤野工房
f:id:higachanntan:20230420223342j:image通天閣(日立のネオンサインは工事中)
f:id:higachanntan:20230420223408j:image↑紙の回数券(差額の30円を払った)

 

 戦前の大阪のことなら、 『郷土研究 上方 復刻版』に当たるようにしている。そして、『大阪春秋』に当たる。『大阪春秋』も廃刊になって久しい。今は過去になり、過去は今に生きてくる。これから大阪人はどう生きていくのだろうか。

 

【参考文献】

大阪市内における建碑』(大阪市)

『郷土研究 上方』(新和出版社)

ゼンリン住宅地図 大阪市西成区』(株式会社ゼンリン)

西成区観光マップ』(西成区役所)

『南木芳太郎日記−大阪郷土研究の先覚者−』(大阪市史編纂所)